こんにちは。
夏の暑さも次第に和らぎ、段々と過ごしやすくなってきた今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。
前回は船とアクションカメラを用いて中海の海底の様子の撮影を試みました。
akiyuki2119067018.hatenablog.com
残念ながら目的の「険悪地」の正体が何なのか把握するには至りませんでしたが、海底の様子や水の透明度などが分かり、次につながる成果はあったかと思います。
この海底調査は5月上旬に行いました。
そして6月、中海に沈む一式陸攻のことが地元の新聞に取り上げられました。
この記事によって一式陸攻のことが地元の多くの人に知られることとなり、多くの反響がありました。一式陸攻の不時着を見たという方が新たに連絡をしてきてくださったり、その方を経由して海没処分前の二式大艇を見たという方からもお話を聞けたりなど、調査が進展するきっかけにもなりました。
そしてなんとこの新聞記事をきっかけとして地元の建設コンサルタント会社から電話があり、御厚意により最新鋭の「マルチビームソナー」という測定機器を用いて中海の海底を調査することになったのです。
なんと運が良いのでしょうか。こんなに上手い展開が来るとは思いもしませんでした。
と、いうことで今回はその調査の様子と結果を書いていこうと思います。
今回協力してくださったのは鳥取市に本社を置く「アサヒコンサルタント株式会社」様です。
↓ホームページ
通常は非常に高額な費用のかかる調査を今回は無償で引き受けてくださいました。本当に感謝してもしきれません。地域に根差した、とても良い企業です。
また調査に使う船は地元の方が快く協力してくださり、無事に用意することができました。本当に色々な方のご協力のもと、実現できたのだなぁと思います。
さて、今回の調査の目的は、有力候補である例の2つの険悪地の正体を解明することです。
それから海底の詳しい地形を把握すること、もし何かそれらしい物体が見つかれば水中ドローンを用いて撮影します。
7月20日、調査前日。
この日は調査で使うソナーを船に固定するための金具を取り付ける作業でした。
船名は「OSPRAY-Ⅴ」。
1隻目はⅠで段々とグレードアップしていき、これで4隻目だそうです。
これが金具。木材は隙間の調整に使うとのこと。
40分くらいで取り付けが終わりました。
これはパソコンと何やら高そうな機械。おそらくソナーで得た情報を処理するコンピュータなのでしょう。測定画面はパソコンを用いて見るそうです。
この日はこんな感じで機材の確認、調整や試験運転をやって終了。
そして翌21日。いよいよ調査当日。
若干悪天候でしたが、波がなかったので雨天決行。
昨日用意した土台にソナーを取り付け、パソコンなども船に設置します。
かなり本格的です。
早朝7時30分、出港。
測定画面はこんな感じ。
前回の記事でも書いた通り海底は凹凸のほとんどないまっさらな砂地のようです。
出港から約15分後・・・
写真左上の赤丸、航海用のブイの間にある険悪地の上を通過。
ここには高さ0.6mの海底障害物があるはずですが・・・測定画面に映るのは平坦な砂地のみ・・・
船上からでは険悪地は確認出来ませんでした。何故?
さらに15分後、例の一式陸攻の不時着現場とされる付近に到着。
目指すはこの険悪地。
GPSを見ながら雑巾がけをするように海上を往復し、周辺を満遍なく測定していきます。
が、しかし・・・一向に飛行機らしき物体は映らず。岸に近付いたり、離れたりして場所を変えましたが駄目でした。
そのうち天候が急変し波もかなり高くなってきたので予定より早く終了しました。
まだこの段階ではデータをきちんと見ていないのですが、「調査した範囲に飛行機の形をした物体は無かった」ということだけは確実に言えます。
おそらく今回測定した範囲の外にあるか、もしくは上から見てもわからないくらい砂に埋もれてしまっているのでしょう。1つの成果としては中海の正確な海底地形が把握できたことでしょうか。
終戦から今年で74年、その74年という歳月の長さと人の営みの儚さを見たような調査でした。
調査実施から約1ヵ月後の8月中旬、アサヒコンサルタントさんから調査結果のデータが届きました。
測定箇所が2箇所ありますが、ちょうど↓の写真の赤丸の周辺を測定しています。
左上の方の測定箇所です。全体の水深は10m程度。
右の方にある赤い点はブイです。
↓こんな感じ。
このブイ以外はずっとこんな感じで何も見当たりませんでした。
続いて右側の測定箇所。
海図と同じ地形をしているのがお分かりでしょうか。
そして例の険悪地ですが、多分これ。(画面の明るさを上げると見やすいです。)
この画像だと非常に分かりにくいですが、板状の物体が海底に出ています。
場所は↓の赤丸の部分。
海図記載の険悪地の場所と同じですね。
この板状の物体、大きさはというと...高さ約1m、長さ約1.7m、幅約0.4mです。
これは一体何でしょうか。これが飛行機の一部だというのはあまりピンときません。
もし仮にあり得るとすれば、垂直尾翼でしょうか。
他には目立って障害物らしき物もなく、なだらかですが戦後に大量の砂を採取しているため、山みたいになっているところが所々見られます。
深くなっている所の方が多いというのは予想外でした。
そんな訳で、今回はマルチビームソナーを用いた海底調査の様子とその結果を見ていきました。当初はもっとわかりやすく飛行機が落ちてるかなと思っていましたが、なかなかそう上手くはいかないものです。
今後は
・今回調査した範囲外にある。
・範囲内だが完全に砂に埋もれている。
という2つの可能性について探っていこうと思います。
~つづく~