こんにちは。
前回は車体の塗装と部品の組付けを行い、エンジンを始動させるところまでやりました。
akiyuki2119067018.hatenablog.com
なんとかエンジンは掛かったのですが、アイドリングが安定しません。
近くの空き地を走ってみましたが、どうも調子が悪い...
しかもなんと・・・マフラーからまるで2stエンジン車のような白煙が出ています。
初めは「まぁ、古いからな。」などとかなり楽観的に考えていたのですが、走っている内に段々と白煙の量が多くなり、しまいにはなんとマフラーの水抜き穴からエンジンオイルが滝のように出てきました。
何がどうなっているのかさっぱり分かりません。一体何が起きているんだ・・・
さらに追い打ちをかけるようにシリンダーから異音が・・・
なんだこの音は・・・鈴虫でも住んでるのか・・・
どうやら事件はシリンダー内部で起こっているようです。
そこで数日間、ネットでこれは一体何の故障なのかを調べました。
結果、マフラーから出る白煙、シリンダー内部からの異音、これらの症状から察するにオイル上がりが起こっているのではないかという結論に達しました。
オイル上がりというのはピストンリングの摩耗などが原因でシリンダー内壁とピストンの間に隙間が生じ、クランクケース内部のエンジンオイルが燃焼室に入り込んでしまう現象のことを言います。オイルがガソリンと一緒に燃えるので、マフラーから白煙が出たり、エンジンオイルの消費が異常に速かったりという症状が出るのです。
対処法としては、オイルの粘度を上げる、ピストンリングを交換するなどがあります。
症状が軽い場合はオイルの交換だけで改善できることもあるそうです。
また、症状の似た故障としてオイル下がりというものがあります。これはオイル上がりの逆で、シリンダーヘッドからオイルが燃焼室に下がってくる現象です。吸排気バルブのステムシールの劣化が原因で引き起こされます。オイル上がりと非常に症状が似ているのでどちらか判別するのは難しそうです。
今回はシリンダーから異音がしているのでおそらくピストンリングがおかしいのだと思います。ということでオイル下がりではなくオイル上がりであると結論付けました。
原因が何かはわかりました。ここまで頑張ってきたので廃車にはしたくないです。
なんとしてもこれを修理しようと思います。
(正直エンジンの交換も考えましたが、ボロボロの中古品でも3万円くらいするので辞めました。)
まず初めにオイルの粘度を上げてみました。10w-30という粘度のオイルが入っていたので10w-40に交換しました。
結果:まったく効果なし・・・。
どうやらこんな簡単に治るようなものではなく、かなりの重症らしいです。
オイル交換では何ともならなかったので、あまりやりたくはないのですがエンジンを開けてピストンリングを交換することにします。
エンジンを開けるのは初めてなので前もって色々と情報を集めてみましたが、タウンメイトのエンジンについての情報はネット上に皆無でした。仕方がないので今回は似たようなエンジンを搭載しているスーパーカブを参考に分解していきます。
では、早速やります。
まず、シリンダヘッドのカバーを外し、ピストンの位置を圧縮上死点に合わせます。
シリンダヘッドとカムスプロケットにそれぞれ印がついているのでそこを合わせます。
後で知りましたが、別にここで合わせなくても組み立ての時に合わせれば問題ないようです。
次に、シリンダヘッドの固定を外します。
エンジン先端部分の4本と、
それからここと、
ここにあります。
シリンダヘッドの固定が外れたら、カムスプロケットを取りはずします。
チェーンをエンジン内に落としてしまわないように注意。
それからヘッドを外します。
取れました。思っていたよりも重たいです。
まぁ、ここまではほとんどスーパーカブと勝手が同じですね。
シリンダーも取りました。
シリンダー内壁はおおむね綺麗でしたが、錆が出ている所もありました。
これがピストンです。軽くこすったような跡がありますが、こんなものなのでしょうか?
クリップとピンを取り、ピストンを外します。
微妙に焼けたような跡もありますが・・・新しいピストンを買う余裕はないので当然のごとく再利用です。
ヤマハとホンダ、メーカーは違えど、どちらも単気筒横型4ストロークエンジンです。
非常に構造が似ています。
ホンダのエンジンとの相違点を挙げるなら、これ。
カムチェーンテンショナーの構造が違いました。
カブのエンジンは「カムチェーンガイドローラー」という樹脂製のローラーが入っていますが、メイトは画像のような樹脂製の棒が入っています。
どうやらこれが撓んでカムチェーンを押さえつけることで、チェーンを張らせる仕組みのようです。そのためカムチェーンテンショナーの調整機構は、カブはエンジン下部のドレンボルトの隣に、メイトはシリンダーヘッドに付いています。
分解も一通り終わり、エンジンの構造が大体わかったのでいよいよピストンリングを交換し、エンジンを再び組付けます。
なんと今回はホンダ製のスーパーカブ50用のピストンリングを買いました。
「なんだお前、買い物失敗してるじゃねぇか」と思うかもしれませんが、まぁ一応考えはあります。
以前、タウンメイトのピストンをスーパーカブのエンジンに装着している人のブログを拝見しました。なんでも、この二つのエンジンのピストンは寸法からピンの規格に至るまで何から何まで全く同じらしいのです。
メイトのピストンがカブに付くということは、つまりカブのピストンもメイトに付くということです。ここまで同じなのならひょっとしてピストンリングも全く同じなのではないか?そう思って今回はカブ用のピストンリングを買いました。
(実のところはネットで購入できる部品がこれしかなかった、という消極的な理由なのですが・・・)
実際はどうなのか、比べてみました。
左がメイトのピストンリング、右がカブのリングです。ぱっと見た感じでは同じに見えます。
重ねてみました。完全に重なっています。どうやら大きさは同じようです。
厚さも同じっぽいです。
よしいける。これは。
では、先ほどとは逆の手順で組み立てていきます。
ピストンやシリンダーが汚かったので汚れを落とし、ピカールで傷を削りました。
ピカールなんかで磨いてよかったのかは知りませんが・・・
ピストンリングを溝にはめていきます。オイルを塗るのを忘れずに。
リングにはこのように印が付いています。印のあるほうが上です。
リングにはトップリング、セカンドリング、オイルリングなどと種類がありますので間違えないように注意します。
リングの装着が終わったら、ピストンを組付けていきます。
まずは、ケースにこびりついた古いガスケットを剥がします。これが一番大変。
幸いにも、純正部品の在庫がまだありました。
ピストンを装着します。ピストンリング以外の部品は再利用しました。
ここにはゴムっぽいガスケットを使います。
次にシリンダーを取り付けます。この時点でピストンを動かしてみましたが、なかなかスムーズで良い感じ。これは期待できそうです。
また、ここでピストンを上死点に合わせておきます。
そしてシリンダーヘッドを取り付けカムスプロケットを装着します。
ピストンが上死点にある状態でカムスプロケットの印がぴったりと合うようにします。
こちら側はメタルガスケットです。
カムチェーンテンショナーの取り付けが少々面倒です。まぁ、でも実際見たら構造が分かるので問題ないかと思います。
最後に各所のボルト、ナットを閉めたらオーバーホールは終わりです。
なんとか作業は終了しました。途中怪しい部分もありましたが、初めてやったにしては出来たほうかなと思います。
では、エンジンをかけてみます。
さあ、果たして無事に動くのか・・・白煙は直ったのか・・・
やりました!
これはどうやら直ったみたいです。白煙が出なくなりました。音もまったく違います。
明らかに健康そうな音です。アイドリングも非常に安定しています。
いやー、良かった。
今回はここまでです。
今回は、オイル上がりを修理するべく初の腰上オーバーホールに挑戦しました。
なんとか直すことができてよかったです。一時は中止になりそうだったレストアですが、着実に障壁を乗り越え、成功へと向かっているように思います。
次回は車体の仕上げをしてナンバー取得、そしていよいよ公道に復帰します。
~続く~